『ビーストギャング・ポーカー』を紹介したい

机いっぱいのチラシ
こんな感じの机が4台あった

チラシの媒体をクリアファイルにしてここに置いたらみんな手に取ってくれそう。

 

 

 

こんにちは。KaDiです。

 

先日東京ゲームダンジョン5という個人・小規模開発のデジタルゲーム(インディゲーム)の展示会に行ってきました。

その感想として、面白かったゲームを紹介していきます。

とはいっても紹介するゲームは1つだけ。タイトルは『ビーストギャング・ポーカー』

 

たくさん見て、聞いて、試遊してきた中でビーストギャング・ポーカーが一番面白かった。

 

一通り回ったあとで、もう一度遊びたい・もっと遊びたい・続きが遊びたいという感情が最も強く出たのはビーストギャング・ポーカーでした。

 

 

 

 

ビーストギャング・ポーカーとは?

www.kisoutenguys.com

ビーストギャング・ポーカー
企創天外株式会社が制作しています

ビーストギャング・ポーカーは、5×5のマスにトランプのカードを配置してポーカーの役の成立を目指すパズルゲームです。

プレイヤーは、指定されたカードをドラッグして動かし、盤上の好きなところへ順に置いていきます。

上手くカードが並ぶと(ポーカーの)役が成立、成立した役の種類・数に応じてポイントを得ることができます。一組のトランプ52枚を配置して、より高いポイントを得ることを目指します。

そんなビーストギャング・ポーカーの、最初に伝えたい魅力は、ポイントの取得方法『チェックハンド』について。

魅力1:チェックハンドの爽快感

ビーストギャング・ポーカーは、カードを置くだけでは、役が完成してもポイントは増えず、盤面は一切変化しません。任意のタイミングで『チェックハンド』のボタンを押すことで役が判定されます。

カードを置いたあとにチェックハンドボタンを押すと、盤面で成立している役が一気に全て判定され、スコアが大きく上昇、役に関与したカードが消滅。これがビーストギャング・ポーカーのポイントの取得システムになっています。

手持ちのトランプで再現
フラッシュができているが、まだスコアには反映されない
ある程度カードを置いたタイミングで、チェックハンド!
たくさんの役が一気に成立する

 

チェックハンド後は、役に関与したトランプが消滅する
その後も、残りのカードを置いていく

 

「空の盤面に要素を追加していく」という点では、落ちもの系パズル(テトリスぷよぷよ、スイカゲームなど)が似ているでしょう。ただ、あちらが条件を満たす(横一列全てにブロックを置く、同じ色を4つ繋げる、同じ果物を接触させる)と、即座にポイントになり盤面が変化するのに対して、ビーストギャング・ポーカーでは、任意のタイミングまで待つことができるという違いがあります。

では、それの何が良いのか?

 

爽快感です。

 

一気に消えて一気にポイントが増える、というのは爽快感がすごい。ぷよぷよで大量に連鎖させて一気に消えていく瞬間や、スイカゲームで連続で果物が合体してダブルスイカが達成する瞬間など、時間を費やして積み上げたものが一気に消える場面は大体スカッとするものです。

この爽快感をビーストギャング・ポーカーは基本のポイント取得方法として持っており、チェックハンドの瞬間の気持ちの良さはクセになります。

 

また、「一気に消える」とあるように、ポーカーの役を複数同時に作る、というのも面白いところ。

ポーカーというのは基本的には自分の手持ちのカード(と場)の数枚で役一つを作るものです。ポーカーのルールを使用したゲームはいくつかありますが、どれも作る役は一つであり、二次元のマス目で、複数の役を同時に成立させる、というのはありそうでなかったものでした。

多くのマッチ3パズルが1箇所を動かしてその周辺で揃った絵柄を消すのに対して、パズドラが、時間が許す限り動かし続けて一気に複数の場所で揃った絵柄を消すという進化がありました。

そういう進化をポーカーに起こしていて、新たな爽快感を生み出していると思っています。

 

このように、ポーカーの役が成立するようにトランプを配置する、それをチェックハンドで一気にポイントに還元する、という基本ルールだけでもビーストギャング・ポーカーは良いのですが、実際に試遊すると、次の魅力に気がつきました。

 

魅力2: 何度も遊びたくなる絶妙なルール

ビーストギャング・ポーカーは、α版時点でも細かいルール設計が絶妙でした。

どのルールがどう絶妙なのか、というのを伝えるために、ビーストギャング・ポーカーの詳細なルールを書いていきます。(試遊したα版でのルールで、今後変わりうることは留意してください。)

 

  • トランプカードをゲームごとに固定された順番で、5×5の盤面のカードが置かれていない場所に置いていきます。
    • 配置するカードは、現在の順番で4番目に配置するものまでが見えています。それ以降はどんなカードがどの順に現れるかわかりません。
    • 使用するカードは、52枚のトランプカード一組です。そのため、同じカードが二度出現することはありません
    • 一度配置したカードは、チェックハンドを行うまで位置を変えることができません。
  • 盤面の縦・横・斜めで、ポーカーの役ができる並びを作ると、その部分で「役が成立」します。
    • 斜めは、対角線以外にも、斜めとして見ることができる全ての場所で判定があります。
    • 役は、1ペア、2ペア、3カード、ストレート、フラッシュ、フルハウス、4カード、ストレートフラッシュ、ロイヤルストレートフラッシュの9種類です。
    • 1ペアなど、役の判定が5枚より少ない枚数でできるものは、その部分だけで役としてカウントされます。特に、対角線以外の斜めラインでは、5枚役は作れず、2〜4枚で作れる役のみ成立させることができます
    • 役の成立には、役が成立することがわかるように、カードを隣り合わせて並べる必要があります
      • 例えば3〜7のストレートは34567, 76543のいずれかで並べたときのみストレートとして判定され、35746などのように並べてもストレートとみなされません。
      • 2枚の2と3枚の3があるとき、22333と並べればフルハウスですが、23233と並べると、後ろの33のみがワンペアとして判定されます。
    • 盤面内で複数の役が同時に成立します。特に、同じカードを縦・横・斜めで複数の役に絡めることができます
  • 任意のタイミングで「チェックハンド」ボタンを押すことができます。このとき、盤面で完成している役の種類とその数に応じてポイントが得られ、スコアが加算されます。その後、一度でも役に関与したカードのみが全て盤面から消去されます
    • 得られるポイントは、成立が難しい役ほど高くなっています。
  • 52枚全てのカードを配置し、チェックハンドして得られるポイントがなくなった時点でゲームが終了します。その時点でのスコアを高くすることを目指します。

 

これらのルールによってどんなことが発生するのか、再現してみたので見てみましょう。

 

始めてからある程度カードを置いたところ

ポーカーの役を作るとなればやはり狙うのはロイヤルストレートフラッシュです。幸運にもスペードとダイヤで高い数字が多く出ているので、上の段で成立を狙っています。

他にも、フラッシュやストレート、フルハウスなど狙えそうな高い役はたくさん!

チェックハンドをしなければならなくなった

 

がしかし!

どれも最後の一枚がなかなか来ない!ほしいカードを待っているうちに、盤面が埋まってきました。カードを置ける場所は4箇所、そしてこの後の4枚にロイヤルストレートフラッシュになれるスペードのQや、フルハウス、ストレート、フラッシュを作れるカードはありません。

一度チェックハンドをして場をあけてからもう少し待つか・・・

チェックハンドをするとこうなる

と思いきや、同じ数字を隣り合わせて置いていたために、至る所でワンペアやスリーカードが成立!多くのカードが消えてしまいました。難しい役でもないのでそこまでスコアも伸びません。

しかも同じカードは2度と出ないため、このゲームではもうロイヤルストレートフラッシュを作ることができません!!*1

他にも狙っていたフラッシュやストレート、フルハウスは全て作り直しとなりました。

 

 

高い役を狙うと、最後の一枚が来ない

→盤面にカードが埋まってしまい、チェックハンドで場を空ける必要が出てくる

→しかし思わぬところでワンペアなどの役が成立してしまっており、チェックハンドをすると、作りたかった高い役が作れなくなる

→とはいえワンペアを回避するように置くと、必然的にスリーカードなども作れなくなるため、成立する役が少なく、全体の得点は低くなってしまう・・・

こんなことが起こり続けます。

 

 

結構考えてカードを置いているつもりなのに、作りたいものが満足に作れない。そのような悔しさがあったゲームは会場を巡った中ではビーストギャング・ポーカーだけでした。そして、なかなか上手くいかないからこそ、運よくほしいカードが出て高い役が決まると本当に気持ちが良い

 

この悔しさ気持ちよさが混ざり合うと何が起こるか?

 

「もう一度遊びたい!」

 

になります。「もう一度遊びたいとどれだけ思えるか」という評価軸ではビーストギャング・ポーカーはこの上なく素晴らしかったです。

 

また、私は「もう一度遊びたいとどれだけ思えるか」を決定づけるのはルールの中の運要素だと思っていて、カードの順番がランダム、という運要素をビーストギャング・ポーカーはよく活かせているなあと感じました。

 

とはいえ、運だけでスコアが全て決まってしまうわけではありません。ビーストギャング・ポーカーには、高いスコアを取るための戦略が存在する、あるいは戦略が存在するだろうとプレーヤーに思わせる要素がたくさんあります。それが3つ目の魅力です。

 

魅力3:いくらでも考えられる高い戦略性

カードが置かれていない場所(最大25箇所)のどこかに、決められたカードを置く。その行動のために考えられることがたくさんあります。

  • どの場所でどの役を狙うのか
  • このあと置くのが確定している3枚のカードを含め、どこに置けばより高い点数が出せそうか
  • いつチェックハンドをするか
  • 消したいカード、残したいカードはどれか

などなど。

これらの思考は、運次第で全て無駄になることはありません。

 

例えば、フラッシュは他と比べてはるかに作りやすいです。

これは他の5枚役と比較したときに、4枚揃えたあとで最後の1枚になれるカードが一番多いからです。最後の1枚の枚数は、ストレートが特定の数字のカード4枚、ストレートフラッシュが特定のマークと数字のカード1枚に対し、フラッシュは、特定のマークのカードで最大9枚あります。

ストレートとフラッシュの「待ち」の枚数の違い
麻雀と考え方が近いかも

(ロイヤル)ストレートフラッシュも狙い得で、たとえ一番ほしいカードが出なくても、妥協でストレートやフラッシュに変えることができます。*2

 

こんな感じで、最高スコアを狙い続けることは難しくとも、平均スコアを上げることは戦略次第でかなりできるのではないか、と今は考えています。

平均スコアは上げられるというのは、ゲームを遊ぶたびに成長ができるとも言い換えられます。

「コツを掴んだ気がする」「次はもっと上手くできそう」と思わせてくれるのも何度も遊びたくなる要素としてよくできているなと感じました。

 

 

 

さて、ここまでルールから魅力を紹介してきましたが、それら以上に、ビーストギャング・ポーカーで記事を書きたいと思った理由があります。

私にとって、新しかったことです。4つ目の、そして最大の魅力です。

魅力4:強い独自性

遊んでいる最中に、「あのゲームに似ているな」と感じた遊びがない

東京ゲームダンジョン5の会場で様々なゲームに触れた中で、唯一ビーストギャング・ポーカーだけが私にこの感想を与えました。

記事内では、パズドラの進化と似ているだったり、麻雀の考えが使えるだったりと書いていますが、これらは全て、帰宅後にひねり出したものです。

会場で遊んだときは、最初は参考にできそうな遊び・パズル・論理が全くありませんでした。フラッシュが良い、などの戦略も遊びながら組み上げていったものになります。

 

 

多くの遊びに触れる中で、新しいものに出会えることは少なくなっていたからこそ、ビーストギャング・ポーカーをここまで評価したのかなと思います。出会えてよかった。

 

 

ありそうでなかった遊び「ビーストギャング・ポーカー」、皆さんも遊んでみませんか?*3

 

まとめ

  • ビーストギャング・ポーカーはマス目にカードを配置してポーカーの役の成立を目指すパズルゲーム。
  • 運と戦略のバランスが良い絶妙なルールで、何度も遊びたいと思わせてくれる。チェックハンドの爽快感も良い!
  • 私の中では似たゲーム、操作の参考にできる他の作品が見つからず、その新しさに惹かれた

 

最後になりますが、ビーストギャング・ポーカーは、まだ配信されていません。

2024年夏配信予定とのことなので、興味を持った方は気長に待ちましょう。私は待ちます。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。*4

*1:クラブの10、ハート・スペード・ダイヤのJが消えてしまったため

*2:他にも思いついた戦略はありますが、伏せておきます。戦略を考えること、実際に試してみたりすることもビーストギャング・ポーカーの楽しさの一つだと思うからです。

*3:私が知らないだけで、似たルールの遊びが(特にデジタルゲームではなくボドゲなどのアナログゲームで)あるかもしれません。もし知っていたら教えてください。追記ついでに、そのゲームも遊んでみます。

*4:良い部分ばかり書いていて、良くなかったところはないのかとも言われそうなのでその辺を最後に少しだけ。

基本ルール、およびUI・操作感は良くできているなと思いました。それ以外は、完成版がこうなってたら嬉しいなというのがいくつかあります。

  • 「ビーストギャング」要素が強くなると良いなと思っています。webサイトには素敵なフレーバーテキストがあるので、背景やカードイラストなどで世界観が出ると良さそうだと感じました。
  • チェックハンド時の爽快感がもっと高くなると良いなと思っています。演出・エフェクト・サウンドが派手になって、一気に消えて一気にスコアが伸びる気持ちよさがより強くなったら良さそうだと思っています。